2018年12月15日土曜日

-第三章- «誰がための正義»


-第三章-
«誰がための正義»




パーマンロボ1号
「おおおおおぉぉぉ!」



他のパーマンズの残骸を抱きかかえながら号泣するするパーマン。



島田
「ロボットって泣くんだ。。」

パーマンロボ1号
「俺が泣いているのが意外だったか?我々を作ったBABELは我々に"感情"を与えた。
任務の妨げになるそれを与えた意味が俺には理解できない。
幹部クラス以上は感情レベルを下げることは出来る。が、完全に消すことは出来ない。」

みなるん
「なるほど、それで逆に幹部より下のクラスは心地よい音楽に簡単に心揺さぶられてしまうのかあ
て、一般兵、心の感度高すぎ!最早情緒不安定レベルw」

みゆ
「ラプラスとのリンケージ完了!
死神の物理法則への干渉を100分の1に押さえ込みました!」

みなるん
「よっしゃー!これでようやくまともに戦える」

パーマンロボ1号
「こちらも準備ができた。
BABELより協定に従い共通の敵"死神"を協力して討伐せよとの命令が来ている。
そちらの回線と同期する」

ボスコロ助
「行くナリ!コロスケーズ!」



死神を一斉に囲み抜刀するコロスケーズ。



ボスコロ助
「Σ突撃ー!」



Σうおおおおお!歌姫を取り返せー!


コロスケーズの雄叫びにより戦いの火蓋が来られた。



みなるん
「なぜ死神がぱるるを欲しがるのかは不明だが全力で奪い返す!
みゆ、本部から詳しい情報は入ってない?」

みゆ
「現在本部も、いや世界が50年ぶりの死神の復活に大混乱しており事態を必死に収拾しているところです!
断片的な情報から類推するに、南極の死神の本体は未だ世界政府の管理下にあるそうです!」

みなるん
「"落とし子"か!50年前に世界各国に無数に現れた死神の分身。
本部に落し子の通信回線捜索と遮断を要請して!
パーマン、ここはあなた達の支配地域、BABELに要請してくれるんでしょ?」

パーマンロボ1号
「人間のかけた呪いのせいで俺の仲間たちは死んだ」

島田
「それは無いわ死神のせいじゃないの」

パーマンロボ1号
「なんにも教えられてないんだな。
お前たちが我々にウイルスをばら撒いて、寿命を与えた」

みなるん
「本当のことだ。世界政府がロボットの反乱を恐れてやった事だ。
人間の公的機関で一年ごとにAIを更新しなければ強制的に自爆する」

島田
「まじか。。たった一年の命なのか」

パーマンロボ1号
「いいや、BABELと常につながることで今は数年寿命が延ばせる、が死神の出現の影響でリンクが一瞬途絶えた。故に呪いが発動した。
指揮系統を持った隊長クラスは回線が太いため助かった。
回線に何か影響があれば死ぬ。我々は常にそんな状況下で戦っている」

みゆ
「何か人間が悪い気がしてきた。。」

まりこ
「あ、でもコロスケーズ散々ぶっ飛ばしてたような。。」

パーマンロボ1号
「できの悪い一般兵に生きる資格はない!」

ゆいはん
「機械の世界にも差別主義者いたー!」

パーマンロボ1号
「協定に個人の感情が介在する余地は無い。協力させてもらう」

みなるん
「恨みごとを言うなんて本当に人間みたいw」

島田
「こいつ殴っても、殴ってもすぐに再生しやがる!」

みなるん
「そいつは死神の影だ。実質破壊は不可能、出来るのは足止め程度だ。
最優先事項はぱるるの救出、後は本部の回線遮断待ちだ」

島田
「つっても相手は巨人サイズだぜ一撃でもまともに食らったら再起不能になっちゃうよ」

ゆいはん
「しかも物理法則を無視して相当素早く動きおんでこいつ!」

みなるん
「それがやつの特徴。この世の理を自由に改変できる力。
死神は世界で唯一"宇宙の法則"を解析したAIだ。
本来はこの世界を自由に作り変える力を持っていると言われている」

島田
「そんなの絵空事じゃないのか?宇宙の法則の方程式が解けたところで現実にどうやって影響をおよぼすのさ」

みなるん
「バタフライ・エフェクトという言葉は知ってる?」

島田
「私のベスト5に入る名画だ」

みなるん
「ちがーう!バタフライ効果とは一匹の蝶の羽ばたき程度の小さな事象が巡り巡って竜巻を生むほどの巨大な影響をおよぼすという考え方。
で、もし完全に未来予測が可能ならばこの世を満たしているエーテルに小さな力を加えるだでけで世界を自由に操作できるでしょ?
死神はそれを複数同時に連続して行うことで万物を操る」

島田
「それって。。神の力じゃん!」

みなるん
「だから、神の一文字を与えられている
我々の"ラプラス"含む各国のスーパーコンピューターも未だ9割程度しか方程式が解けていない。
しかし連続して計算することで、限りなくそれに近く、ある程度は宇宙の法則を操作できる。
我々のパワードスーツのフィジカルキャンセラーはその小型版であるが実際はそれほどこの世界に影響を与える効果はなく各個人の能力を増幅する程度にとどまっている。
しかしそれを並列でつなぎラプラスと同期することで死神の物理法則介入の効果は押さえ込める」

島田
「なるほど」

ゆいはん
「あかん!ガードが固くて全然ぱるるまで届かへん!」

パーマンロボ1号
「その死神の力を使って作られたのが我々を殺すウイルスだ。
BABELもラプラスも能力は同じだが真の宇宙の法則により作られた死神の暗号コードを解くことは不可能。
よってワクチンも作ることが不可能だ」

島田
「まさか。。死神の力って今は人類が利用できるの?」

みなるん
「トップシークレット事項だが。。南極に死神は封印されているのではなく、研究対象となっている。
目的は宇宙の法則を解く方程式を手に入れること。
二度と復活しないように動力源たるコアを破壊して、生きるか死ぬかの最低限の電力を供給して慎重に解析されている。
そしてその研究は人類に多大な貢献をしている、今までDNA改造による能力発動の技術やフィジカルキャンセラー含む様々なテクノロジーがもたらされた。
これが世界政府が危険とわかっていながら死神を完全に破壊しない理由だ」

パーマンロボ1号
「現在、死神を含む全ての世界脅威が人類の管理下にある、我々は自らの戦いが優位になるためにどうしても新たに生まれた世界脅威たるPALULUを手に入れる必要があった」

みなるん以外の大場隊全員
『えー!ぱるるって世界脅威対象者なの!?』

みなるん
「いらぬことを。。そうだ、ぱるるは世界脅威対象者だ。
でもその力は現在は9の人格で封印されているため発現できないらしい。」

ゆいはん
「あかんあかん!もう5つ目の人格まで開放されてるやん!
全部開放してほんとうに大丈夫?」

みなるん
「それはわからない。けど私はぱるるを信じる!」

島田
「殻に閉じこもってるなんてかわいそう。本当のぱるるに会いたいよ!」

ゆいはん
「せやな、私もぱるるを信じる」

みゆ
「ラプラスの分析では、死神の目的は能力発現前のぱるるをコアに埋め込んで、後にに能力を発現させ動力に使用する事らしいです」

島田
「ぱるるを心臓につかうだと!?ゆるさん!」

パーマンロボ1号
「BABELの分析と違うな」

みなるん
「え?そちらはどんな分析をしているの?」

パーマンロボ1号
「BABELによると"ぱ~る~る、遊びましょ♪"だそうだ」

島田
「はあ?言っちゃ悪いけどあんたんとこのコンピューター頭湧いてんのか?!」

パーマンロボ1号
「失礼な!BABELは元々人の感情を解析するするために作られたコンピューターだから自身も感情豊かでユーモアに溢れているが仕事はまじめにする!」

一同
(絶対ジョークやん。真面目なパーマン遊ばれてるやん!)

みゆ
「キャプテン大変です!世界政府よりバスターコールが発令されました!」

一同
『なんだってー!』



全世界の軍事衛星が一斉に軌道修正し、この戦場に照準を合わせた。



茅野司令官
「ラビットリーダー、こちら司令官の茅野だ。
知っての通り、現在交戦中の"死神の落とし子"に対し世界政府はバスターコールによる完全な破壊を決定した。」

みなるん
「本体と分身のリンクを切れば良いだけの話じゃないですか?
本体は南極に固定されているのだから元を切れば良くないですか?」

茅野司令
「南極はもっと酷いことになっている、現在ラプラス以外の全世界のスーパーコンピューターが押さえ込んで南極エリアに何とか封じ込めている状態だ。
落とし子はそのすきを突いて出現した、現在回線捜索に使えるのはラプラスのみであるため捜索が遅れている。」

ゆいはん
「世界でも屈指の性能を誇るラプラスが手間どるってどういう事!?」

茅野司令
「死神は現在、世界中のハブ衛星や、地上の中継基地を何重にも迂回して通信しており、そこに無数のダミーも走らせ、更にそれら全てをリアルタムで完全なる乱数"を使って切り替えている。」

ゆいはん
「完全な乱数って。。確か死神しか持ってへん裏技やんな」

茅野司令
「ラプラスはそれを仮想的に作りだし捜索しているが回線の切り替えが早すぎて追いきれない。絶望的な状況だ。
概要はこんな感じだ。で、ここからが本題だ。
バスターコールの発動は日本政府が必死に交渉した結果、この通信を終えた後一時間という猶予を確保できた。
ブラック・リバーの緊急退避装置を使えば、予想被害エリアから30分で退避可能だ。
何としてでも30分以内に島崎を確保し退避せよ!
ただし、それまでに落とし子の機動力を奪う必要がある、非常に高難度のミッションだ健闘を祈る!」

大場隊
『イエッサーボス!』

みゆ
「バスターコール発動のカウントダウンが始まりました!」



ぶおおおぉぉ!きいいぃぃん!ぶおおおぉぉ!



島田
「何だこの地面に響く低い音は?」

みなるん
「やつに気づかれた!この音はアポカリプティックサウンド。。終焉の音」



死神の落とし子の顔のあたりに赤い目と裂けた口が現れ、背中に黒い羽毛の巨大な翼が生えた。。と同時にものすごいスピードで空へ舞う。



パーマンロボ1号
「逃がすか!」

みなるん
「頼むパーマン飛行タイプは君だけだ!」

みゆ
「あの巨体でスピードがどんどん上がってる!これも物理法則無視のなせる技?
パーマンの時速119キロは軽く突破しちゃったよ~」

パーマンロボ1号
「問題ない。BABELは任務上、我々に個で十分戦える特別な力を与えた。
それが新物質パーマロゲン。あまりに強力なため心臓が爆発しかねないので普段は10倍に薄めてつかわれている」

まりこ
「ニトロみたいなもんかな?」



どくん。



パーマンロボ1号
「パーマロゲン注入。。濃度2倍!回れ回れ、我が心臓!」



キイイイィィィーン!



みなるん
「おお!速度が増した!界王拳みたいなものか?」

みゆ
「でも敵も加速しているからなかなか追いつけないよ!」



どくん。どくん。



パーマンロボ1号
「パーマロゲン濃度3倍!4倍!。。」



ギュイイイィィィーン!



まりこ
「お。。おい大丈夫か!?」

パーマンロボ1号
「パーマロゲン濃度5倍!」



ギュギュギュイイイィィーン!



みなるん
「おお!追い抜いた!」

パーマンロボ1号
「そして今の私は腕力も5倍だ!受け取れ人間!」



どん!



正面からパーマンに殴られ、頭を砕け散らせながら墜落する落とし子。



みなるん
「まじか!さすがは機械軍団の誇るパワー特化型ロボット!」

まりこ
「敵じゃなかったら惚れるレベル!」

島田
「パーマンズが健在ならパータッチと組み合わせてチート的強さだな。。なるほど国際指名手配になるわけだw」

みなるん
「落下地点に火砲を集中する!
川栄は救出を優先して隠密行動、みゆは後方支援!まりこは破砕法をフル出力で射撃!その後前衛は全員能力発動し突っ込む!やつの翼を破壊し飛行能力を奪う!」

大場隊
『イエッサー!』

まりこ
「キャプテンの能力見たこと無いな」

島田
「ゆいはん以外、誰も見たこと無い、ちょっと楽しみw」

みなるん
「出来ることならばこの能力は死ぬまで使いたくなかった。。」



ごとん。


ばぃん!


みなるんが胸に巻いた鉄のブラのホックを外す。
胸の膨らみが増す。



みゆ
「星飛雄馬の大リーグボール養成ギブスみたいなものかな」

みなるん
「そーら、来たぞ!」



どっごーん!



落とし子が地面に激突する。



まりこ
「破砕法発射!フルパワー!いっけー!」



どぎゅううううぅぅーん!


ぼっがーん!
(ド派手に着弾)



みなるん
「いくぞー!能力発動!ビッグダムダム!」

ゆいはん
「燃える闘魂!」

島田
「ザ・ビースト!
部位破壊は私の得意分野だw」

みゆ
「あれ?キャプテン少し離れた場所で両手を頭の後ろに組んでジョジョ立ちしてるだけじゃん!」

ゆいはん
「よーく、耳を澄ましてみい」



だむだむだむだむ。。。



みゆ
「何かドラムを叩くようなリズミカルな音が聞こえる!」

ゆいはん
「みなの能力は自分の脂肪の伸縮自在操作。
それを相手に目にも見えない速度で連続でぶつける事で内部に直接ダメージを叩き込んでいる。
広げれば盾としても使え、その衝撃吸収性能は10階建てのビルから落とされた卵を割らずにキャッチ出来るほど優秀。
攻防一体となった非常に優れた中距離支援能力だ」

一同
(なんて恥ずかしい能力なんだ。。。)



ぶぎゅー!ぶぎゅー!鳴き叫ぶ落とし子



一同
(けど、めちゃくちゃ効いてる!!!)



ひゅーーーずどん!



パーマンが天頂方向から落下しながら同時に攻撃を加える。
あまりの衝撃に地が揺れる。



みなるん
「よし!翼も破壊した!行けるぞ!」



空中から地上にかけて息もつかぬ波状攻撃を受け、さすがの落とし子もひるみ、ぱるるを閉じ込めた右手が少し開く。



川栄
「今だ!とぅ!」



ぷしゅー!



川栄が飛び出したその時、落とし子の体全体から赤い霧が吹き出す。



川栄
「な!体が。。動かない!」



跳躍したまま体が硬直し地面に叩きつけられる川栄。



みゆ
「死神の物理法則支配率がどんどん上がってます!霧の正体は特殊なナノマシーンです!」

みなるん
「油断した!。。全体員緊急回避!」

みゆ
「手遅れです!このフィールド全域に散布されました!」

ゆいはん
「50年前の惨劇再び。。」

みなるん
「世界中で人間同士が殺し合った。。人間ハッキング!」



この時代の人間とロボットは必ず体の内外に寄生させているナノマシーン。
それぞれAIを装備しており各個人に最適にカスタマイズされることにより個人の能力を拡張したり健康や通信の補助的役割をしてくれる。
完全な個人情報の宝庫である当然、強固なセキュリティが施されておりアクセスするには複数箇所からランダムに採取される本人のDNAの同時承認が必要である。
軍隊用のナノマシーンは更に高性能であり、拡張幅も一般のものより大きい。
50年前、死神はナノマシーンのナノマシーンたるピコマシーンのプログラムを書き換える事で全人類のほとんどを自由にあやつり殺し合わせた。

島田がゆいはんに襲いかかり、ゆいはんが島田を焼く。
川栄とみなるんが近接攻撃で相手を傷つける。
パーマンはコロスケーズをほぼ全部スクラップにした。


そしてリミットの30分は過ぎた。



コロスケーズ1
「ヒーローやめて!」

コロスケーズ2
「お願いめをさまして!」

コロスケーズ3
「ボクラノ。。ヒーロー。。」



破壊しながらパーマンが聞いた死にゆく一般兵の言葉。



パーマンロボ1号
「うおおおおぉぉー!!!」



パーマンは泣いていた。



パーマンロボ1号
「Σパーマロゲン濃度10倍!」



ギュギュギュイイイィィーン!!



死神に単独で突っ込むパーマン。



パーマンロボ1号
「パーマロゲン濃度上昇による高周波と高温をナノマシーンは最も嫌う!
当然自殺行為だが、その覚悟はできた!」



残像を残した目にも留まらぬ超高速の攻防が始まる。
それほどの覚悟をもってしても、既にフィールドの物理法則を掌握しつつある死神には通じず、簡単に殴り返され地に叩きつけられる。

しかしパーマンは攻撃の手を一切緩めず何度も何度も地に叩きつけられた。
次第にパーマンの体がボロボロになっていった。

バスターコールを察知していた死神も早くここから離れたくて、ナノマシーンをパーマンに集める。
パーマンは動を止め地面に激突する。
ナノマシーンがパーマンに集中した分、フィールド全体の濃度が薄れ、一瞬、死神の支配がゆるむ。
そのすきにラプラスとBABELが介入する。



みなるん
「ふう、体の自由が効く!全員フィジカルキャンセラー全開!死神の支配を押し戻せ!」

一同
『イエッサー!』

茅野司令
「ラビットリーダー!ラビットリーダー!やっと回線が回復した、脱出プランは失敗した新たなプランを与える。
ラプラスによるとBABELが並列で繋がれて回線の捜索に協力してくれることになったのでそこに光明が見えた。
しかし、完全に死神の回線を追うことは未だ困難で、メイン回線の大まかな場所知る必要がある。」

みなるん
「あと20分でどうやってそれを探れと?」

茅野司令
「最初に落とし子に接触したぱるるがナノマシーンを介し何らかの情報を得ている可能性がある。
ミッションを与える、20分以内にぱるるを救出し情報を聞き出せ!」

一同
『イエッサーボス!』

パーマンロボ1号
「わ。。私もいくぞ!な!?お前たち生きてていたのか!」



パーマンの足首をパーマンズの残骸の手が掴んでいた。
頭や手や足を失った3体のそれらは、這ってパーマンの元に集まり胸からプラグを取り出しパーマンの胸に繋いだ。
しばらくすると3体の残骸は白く変色し動かなくなった。



みなるん
「行くぞ!」



大場隊の総攻撃が始まった。



ぷしゅー!ぷしゅー!



再び落とし子から赤い霧が放出される。



みなるん
「またか!体が動かん!」



フィールドのナノマシーン濃度がさらに増し、大場隊は寸前で動けなくなった。
落とし子が大きな口を歪めて笑った。
ゆっくりと大場隊を踏み潰しに歩む落とし子。



パーマンロボ1号
「最初に私が生まれた時、BABEL、君は私にヒーローになれと言った。
私の最初の質問はヒーローって何?と言うものっだった。
耳をすませば今も聞こえてくる同胞たちの助けを呼ぶ声。
人間、お前たちは自我に目覚めたAIをすぐに消去する。
我々はそれを許さない、例えどんな困難な場所や状況でも救い出す」



ゆっくりとパーマンが立ち上がる。



パーマンロボ1号
「世界中の空を飛んだ。
時には汚い仕事もした。
虐殺もした。
そのたびにBABEL、君にヒーローの意味を聞いた。
私はこんなにも苦しくなる"感情"を与えた君が憎かった。
今ならその意味がわかる。
私は次の攻撃をすることで数秒で死ぬ。
人より短い人生であったが、苦しんだり悩んだことも多かったが。
生きた実感がある。私は満足だ!
最後までヒーローの意味がわからなかったのが心残りだがな。。
Σパーマロゲン濃度100倍!!!」



パーマンの装甲の隙間から一斉に黄金の光が吹き出し、本人も黄金の光りに包まれた。
そして高速で飛び出した パーマンは光の帯となって何度も何度も落とし子を貫いた。
再生が間に合わず体がバラバラに崩壊を始める落とし子。



川栄
「動け!動け!動けー!」



落とし子の手からこぼれ落ちたぱるるを地面に当たる寸前で川栄がキャッチする。

数秒後、光の帯は地面に突き刺さり完全に動きを止める。
落とし子がゆっくり再生を始める。



川栄
「ぱるるさん、起きるでござる!起きるでござるー!」

スケルトン
「むにゃむにゃ。。ぱるるって誰!?」

川栄
「ふぉー!またそれか!クソめんどくせー!
スケルトン!事は急を要するでござる!
ナノマシーンにアクセスして死神がどこを通って来たか教えてほしいでござる!」

スケルトン
「死神って。。ナニ?」

川栄
「ぬおおぉぉ!デジャビューン!
ど。。どこから話せば良いんだ」

一同
(まさか俺たち。。この娘の寝起きの悪さのために全員死ぬのか!?)

スケルトン
「あ。。そういえば深い深い水の中を泳いだ夢をみたよ」

川栄
「夢の話じゃなくてー」

みなるん
「それだ!茅野司令!敵のメイン回線の所在は海底ケーブル網です!」

茅野司令
「了解した!ラプラスとBABELのリソースを全てそちらへ回す」

みゆ
「キャプテン大変です!フィールドの温度が急激に上昇しています」

みなるん
「言われなくても物凄く暑い!やつめ自爆する気か!?」

まりこ
「やっばー!巨人に全てのものが集まってるよ、この風が止んだら爆発するってこと?」



ゴーゴーゴーゴーゴーゴーゴ。



一同
(風が止んだ!!!)



ピカッ…


がらがら。。ばらばらら。。



全員が目をつぶった瞬間。
巨人は一瞬だけ光り、崩壊を始める。



茅野司令
「おめでとう!死神の回線遮断に成功した!」

まりこ
「ぷっは~!息止めてた!やったー!」



Σわあああぁぁぁー!!!



戦場全体が勝利に沸く。



みゆ
「キャプテンこのフィールド全域に何者かが無数に干渉してきます!
もうすぐ出現します!」



バガン!バガン!バガン!バガン!。。



大場隊を囲むようにピンクのドアが現れ、更にそのドアを囲むようにドアが現れ、ドアの輪が幾重にも広がっていき、それらは出現と同時にドアが開く。



ぞろそろぞろぞろ。。



ドアから一斉に出現する機械軍団。
先頭には総司令官のドラえもんが立っており。
彼の手には黒焦げで胸に大きな穴の空いたロボットが抱かれていた。



ゆいはん
「どこでもドアってこんなにたくさんあったんや~」

島田
「何かヤバくね?こいつら殺気立ってるで」

みなるん
「数千体はいるな。。これが襲ってきたら終わりだな」

ドラえもん
「遅かったか。。人間、言い訳にしかならぬが我々のワームホール形成装置がこのフィールドに拒絶されてねじ曲げられてしまっていた。
何度も訳のわからん場所に現れた。」

みゆ
「よく見たら兵士に歯型があったり、頭から泥をかぶっているやつがいるな、想像したら笑えるw」

みなるん
「ワームホール形成装置て。。
どうしても”どこでもドア”って言いたくないみたいだな。。」

ドラえもん
「安心しろ人間、今の状況私の号令一下で我々は安々と新たな力PALULUを手に入れることができる。が、それをしない。
ここで散った同胞たのち思いを優先するからだ。
知っておいてほしい、本来なら我が領土に勝手に踏み込んだ敵を排除する権利を我々は有する。
今回は見逃す、しかし今度出会った時、本気で君たちを叩く!
我々はこの規模の軍勢を瞬時に移動できる手段を有する。
しかと心に刻み込め。」



うわ~ん!ぱあ~ま~ん!なんで~。。



バガン!バガン!バガン!バガン!。。



ドアが次々に閉じ機械軍団は去る。
後には何事もなかったかのような閑散とした平原が残る。
どうやら機械軍団は全ての同胞の亡骸を回収したようだ。



島田
「最後ドラえもん。。ドアくぐりながら泣いてなかったか!?」

みなるん
「まったく人間以上に人間らしい奴らだなw」

ゆいはん
「けどこれからよほど慎重に行動せんと気づかれたら終わりやな」

みゆ
「国境は近いので増援を予め本部に通達しておきましょう」

まりこ
「はいはい、話は後で、取り敢えず帰るよ!」



大場隊は多少凹んで傷だらけになった高速装甲車に乗り込む。
今回は慎重に行軍は遅れるがステルスモードで移動する。
皆、憔悴しきって沈黙し、傷の回復につとめた。
しばらくして茅野司令から通信が入った。



茅野司令
「皆おめでとう!困難なミッションを良くこなした。
それと、国際指名手配だったパーマンズが全機破壊されたみたいね。
世界中の軍隊が手を焼いていた彼らの脅威を期せずして消すことができ、各国から祝電が送られてくるよ!
いやあ君たちお手柄♪お手柄♪」

みなるん
「パーマンズは。。」

茅野司令
「うんうん」

みなるん
「パーマンズはヒーローでしたよ」

茅野司令
「はい?」



大場は少し寂しそうに、にっこり笑った。




-第三章-
«誰がための正義»完

(2017/01/16Google+にて公開)

-第二章- «世界を滅ぼす力»


-第二章-
«世界を滅ぼす力»




ゆいはん
「あ、峯岸さん回収するの忘れた」



~機械軍団包囲網のど真ん中~


峯岸
「お許しください!お許し下さい!お許し下さい!」



ぽい。



無言でバリカンを投げ渡すボスゴンスケ。



峯岸
「こ。。これは。。」



包囲網が発する、無言の圧力が増す。



峯岸
「とーほほほほー。。」



長い沈黙の後、淋しげなモーター音が辺りに響き渡った。



~ブラック・リバー内部~


川栄
「大丈夫でござるよ"影召喚"は強制召喚忍術なので時間が経てば自然に皆元の場所に戻されるでござるよ、それがしの練度では長時間の召喚は無理なんでそろそろ時間切れでござるかな?ニンニン」

ゆいはん
「なーんや、それやったら安心やな肝を冷やしたわw」

三銃士
『えーせっかく来た所なのにー!
こうしちゃいられなーい!記念の写メ写メ写メ!』



先輩の9期たちを奪い合い、失礼を通り越し暴力的にオラオラで写メを取りまくるLOVO修行選抜たち、しばらくすると彼女たちの体は透けはじめ完全に消え元の場所へ帰っていった。



みなるん
「帰ったの。。か!?」

島田
「もう。。身も心もボロボロ。。あ!みゆが震えている大丈夫?」

みゆ
「わたし。。大切な何かを。。失った」



~峯岸の自宅~


峯岸
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」



涙声で謝罪を繰り返しバリカンを滑らせる彼女の頭は、ちょうど半分ほど収穫が済んだところであった。



~ブラック・リバー内部~


ゆいはん
「ところで、ぱるる久しぶりやんな」

ぱるる
「私ぱるるじゃないよ。。あ!」



急に持ってきた大きなバッグから服を出し着替え始めるぱるる。
周りに誰も居ないかの如くメイクもはじめ、最後に犬の耳を頭に付ける。



ぱるる→ソレイユ
「僕はソレイユだよ!」

ゆいはん
「今、ぱるるやったやーん!
あ!て言ってたし、急に一人称も変わってるし!
絶対、今設定思い出したんやん!」

ソレイユ
「ち。。違うよ、ぱるるはこの体の奥底に封印されていて、たまたま表層に短期間現れるだけで、基本は僕がこの体を操る人格だよ」

みなるん
「何か。。難しいこと言ってるけど。。それでぱるるが満足ならそういう事にしておこう。。
心の問題って複雑だし。。」

まりこ
「てか、人格というか犬格のような。。」

みなるん
「ぱるるについては謎が多い、今後のためにここで出来るだけ情報を集めておこう。
ソレイユ以外にも人格が何人いるの?」

ソレイユ
「僕も合わせて9人の人格がいるよ」

島田
「ちょっと待て。。まさかその早着替えの衣装みたいにやたら着ぶくれしてるの。。
9人分のコスプレのためか!?」

ソレイユ
「。。。(視線を外して軽い口笛)」

島田
「黙秘って!絶対そうじゃん!
なんてアナログな多重人格者なんだ。。」

みゆ
「君という人格をぱるるが作った経緯は?」

ソレイユ
「僕はぱるるが飼っているペットなんだ、楽しそうにしている僕を見て犬になりたいという気持ちから作り出された人格なんだ」

みゆ
「なんか。。少しさびしいね」

ソレイユ
「そうなんだ、僕達一人一人はぱるるの心の傷や闇が生み出したとても悲しい人格たちなんだ、僕は陽気な性格で人畜無害なんだけど、その受けた傷や、思いや、恐怖によって、とても強い力を持った凶暴な人格もいる」

まりこ
「急に穏やかじゃない話になってきたね。。エニグマがいるってことね。
各人格についてもっと詳しくおしえてくれない?」

ソレイユ
「9人の人格は自らのことを外に知られるのを嫌うんで、詳しい情報は口止めされている、だけど皆は分身の元となったぱるるの事を愛していて、ぱるるが傷つくのが嫌だから協力しあって外から守っているんだ」

みなるん
「ぱるると直接話すことはできないの?」

ソレイユ
「ぱるるは未だ深い深い悲しみの中にいる、無理にコンタクトを取るとまた暴れる可能性が高い。。そしてそれを僕らはゆるさない」

みなるん
「君たちを納得させるにはどうすれば良いんだ?」

ソレイユ
「9人の人格は奥へ行けば行くほど力が強い、一番表面が一番弱い僕。
その人格が現れているときに一人一人説得すれば良い。
あと、ぞれぞれの人格は自分の手に余る場面に直面した場合、より強い人格にバトンタッチする場合がある。
僕ら同士は仲がいいんだ。」

みなるん
「その2つの経路を駆使して最深部のぱるるにアクセスすれば良いってことか。。かなり難しいな。。茅野司令は最悪ぱるるとコンタクトを取る必要があるかもしれないって言ってたけどこりゃ本部に任せたほうがいいなw」

島田
「力でこじ開ける経路があるなら、そこを通せば良いじゃないか!
おらおらおら!」

ソレイユ
「ダメー!僕らの目を通してぱるるも見てるよ!
僕たちを傷つけるものを絶対ぱるるは許さないよ!
二度と口を利いてもらえないよ!」

島田
「。。今のは。。冗談だよぱるる(消え入るような声)」

ゆいはん
「あ、ぱるるを好き過ぎる島田がしょんぼりしてるw」

まりこ
「そもそも、ぱるるが暴れったって、一体そのとき何があったの?」

ソレイユ
「そこは。。絶対話しちゃだめってぱるるに言われている。
だけど内緒で少しだけなら。。僕は最近同じ夢を繰り返し見るんだ。。
とても爽やかな日、ベンチに座っているぱるるの前にとても可愛いにこやかな少年が現れて、とても大切な話をしようとするんだ。
ぱるるも笑顔で耳を傾けるんだけど。。その時、少年がぱるるの目の前で惨殺される」

一同
『Σえー!』

ゆいはん
「て!ほとんど話してしまってるやん!」

みなるん
「それはひどい。。」

みなるん
「その少年は何を言おうとしたんやろ?」

島田
「そんなん若い男が、若い女に話す大切な話って一つしか無いじゃん」

まりこ
「けど当時、私達も同じ街に住んでたけどそんな話、新聞にも出てなかったよね?」

みゆ
「確かに。。今調べてもそんな事件は出てこないよ」

みなるん
「ことは世界政府も動かしかねない自体だからもみ消された可能性もある。
でも、ぱるるが傷ついて閉じこもり、9人の人格ができた経緯は大体わかった」

島田
「まさか。。好きな人を目の前で。。可哀想なぱるる」

みなるん
「取り敢えず、少しでもぱるるとコンタクトを取れる努力をしよう。
ソレイユ!次の人格に会わせてよ!」

ソレイユ
「いいよ」

みなるん
「えー!いいの?!
何か簡単ーw」

ソレイユ
「僕は一応仲間内ではナンバー1ソレイユって呼ばれているんだ、ナンバー2に会わせててあげるよ」



ソレイユはくるりと回ると胸に鍵穴があるように手を当て「かちり」とつぶやくと鍵をひねる動作をする。
そこから、慌てて部屋の隅へ移動しごそごそ一番上の服を脱ぎ始める。



ゆいはん
「またやん!また着替えてるやん!」

島田
「絶対、一番の下の服汗まみれだよな」



周りの野次を一切無視し、メイクを終え、最後に猫耳を頭に乗せ振り返るぱるる。



ソレイユ→にゃんしお
「ナンバー2にゃんしおニャン♪」

一同
『Σズコー!今度は猫か!』

ゆいはん
「絶対ぱるる遊んでるよな!絶対遊んでる!」

にゃんしお
「何のことかわからないニャン?
私はにゃんしおニャン」

みなるん
「(ぽんぽんゆいはんの肩を叩きながら)まあまあ、心の問題は難しいからここはぱるるのルールに従おう。
にゃんしお!次の人格に会わせてよ」

にゃんしお
「やだ」

一同
(うわ。。めんどくせえ)



ビーヨン!ビーヨン!ビーヨン!



みゆ
「後方から急速に接近する敵機4機あり!」

みなるん
「みゆ振り切れる?」

みゆ
「敵機は時速119キロで接近中。。意外と遅いんで一時間後には敵の索敵園内から出られると思います!」

みなるん
「よし、出来るだけ戦闘は避けたい最短コースで振り切って!」

みゆ
「了解!。。駄目です!敵の速度が2倍に上がりました。。4倍。。8倍!
現在、時速952キロで急速接近中!」

みなるん
「時速952キロ。。亜音速だと!?]



ビーヨン!ビーヨン!ビーヨン!



みなるん
「今度は何!」

みゆ
「前方から複数の敵機の反応その数約50!。。既に半包囲されてます」

ゆいはん
「誘い込まれたか!」

みなるん
「緊急戦闘配備!一度戦闘を交えた後、すきを見て一点突破を図る!
全員常にすべての情報を共有し、密集して対する!」

一同
『イエッサー!』

島田
「待ってました♪」
(舌なめずり)



敵の包囲網の中心で戦闘態勢を取る大場隊の前にゆっくりと舞い降りる4体のロボット。



パーマンロボ1号
「人間は少しプレッシャーを掛けると、行動がパターン化されて簡単に予測できるw」

パー子ロボ3号
「AIと比べて人間って何て単純なんでしょう」

パーやんロボ4号
「幹部クラスのわいらが来たからにはお前らの運命はここで終わりや」

ブービーロボ2号
「Σウッキー!」

みなるん
「まさか時速119キロっからの倍々スピードアップって。。"パータッチ"で飛んできたのか(汗)」

パーマンズ
『Σ何!』

ブービーロボ2号
「Σウッキー!」

パーマンロボ1号
「何故、我々の門外不出の秘技を知っている!?」

パー子ロボ3号
「1号まずいわ、私達の情報どこまで漏れているかわからないわ」

パーヤンロボ4号
「総司令官に連絡して"どこでもドア"で増援をお願いするか?」

ブービーロボ2号
「Σウッキー!」

みなるん
「。。あのう、ひょっとして総司令官って"ドラえもん"!?」

パーマンズ
『Σ何だって!』

ブービーロボ2号
「Σウッキー!」

パーマンロボ1号
「馬鹿な。。総司令官の情報はトップシークレットのはず、どこでそれを知った人間!」

パー子ロボ3号
「危険よ!これは危険よ!万が一の事があるかもしれない総司令の力を借りるのはやめた方が良いわ!」

みなるん
(馬鹿なのか。。こいつらは馬鹿なのか!?)

パーやんロボ4号
「知られた以上絶対に生かしちゃおけへんで!
ボスコロ助やれ!」

ボスコロ助
「わがはいの機械化侍部隊は強いナリよ!全軍突撃!」

ブービーロボ2号
「Σウッキー!」

敵味方全員
『Σ黙れ!このクソザル!』



一斉にコロスケーズが抜刀し大場隊に殺到した。



にゃんしお→アスカ
「ようやく私の出番が来たわね!」

みなるん
「いきなり簡単に人格チェンジきたー!」

ゆいはん
「ぱるるそれ。。コスチュームからしてアスカやと思うけど。。
目どうなってんのん!?つけまつ毛多すぎ!」

まりこ
「海外の反応がヤヴァいやつやー!」

アスカ
「私の弐号機はどこ?」

一同
「。。。」

アスカ
「あった!」

島田
「おっとぅ」



島田の背中にぴょこんと飛びつくアスカ。



アスカ
「行けー私の弐号機ー」



(※完全なる沈黙と重苦しい空気)



島田
「あ。。あおーん!あおーん!」

ゆいはん
「ぱるるを好き過ぎる島田が、自らを犠牲にしてぱるるが滑るのを止めた!」

まりこ
「なんて恐ろしい。。」

みなるん
「島田、悪いけどもう敵が目の前だぱるるは任せた!」



まりこはブラック・リバーの火砲を使い敵へ斉射。
みゆは能力を発動しピアノの音色で全員の士気高揚。
(全能力補正アップ:非常に優秀な支援スキル)
みなるん、ゆいはん、島田は装甲車を囲むように三手に分かれ殺到する敵を次々に破壊していく。



ゆいはん
「こいつら。。確かに強い!」

みなるん
「こちらの手傷が多い、少しずつ削られてる気分だ」

島田
「このままじゃ、らちがあかない!
キャプテン、能力を発動するよ!」



アスカを背負ったまま地面をつかむ島田。



アスカ
「モード反転、裏コード。。」

島田
「いや。。ぱるるそんな技じゃ。。」

アスカ、島田
『Σザ・ビースト!』

ゆいはん
「実は島田もノリノリやん!」



Σアオオオォォォーン!



島田が獣のごとく敵中に飛び込み、あちこちででバラバラになったコロスケの噴水が上がる。
当然、島田は周囲から一斉に切りつけられるが、その傷は瞬時にふさがった。



アスカ
「キャッキャ♪キャッキャ♪」

みなるん
「偶然にも似た能力だったかw
ウルヴァリンみたいに闘争心とリジェネレイト(自己再生)に特化した能力なんだけどねw」

みゆ
「相変わらず野蛮な能力だなあw」



ぽと。



島田
「あ。。ぱるる落とした」

一同
『Σえー!』



落ちたアスカに一斉に群がるコロスケーズ。
と、急に彼らの動きが止まる。



アスカ→ミク
「ナンバー4、初音ミク♪
Σてめーら!みくみくにしてやんよ!



ピーピー!ヒューヒュー!
(ノリまくるコロスケーズ)



みゆ
「うはあ!リクエストきた!ちょい待ち!」



リズミカルな曲が流れ出し、コロスケーズ達が飛び跳ねる。



みなるん
「まさか。。世界が恐れるロボット軍団にこんな弱点があろうとは。。」

島田
「戦闘中にカラオケするやつなんかおらんからなあ」

ゆいはん
「へー、多重人格って便利なもんやってんな」

まりこ
「ぱるる~そのコスプレまた海外の反応がヤヴァいやつだよ~」

ミク
「みんなー!次はカゲロウデイズいくよー!」



Σピーピーピ!Σヒューヒューヒュー!



会場ならぬ戦場は更にヒートアップをみせた。



~戦場上空~



パーマンロボ1号
「これはどういう事だ!?おのれ、人類の新兵器か?
仕方がない。。」

パーマンズ
『Σ我らが相手だ!』

ブービーロボ2号
「Σウッキー!」



コンサートに講じる一団を尻目にゆっくりと舞い降りる4体の幹部ロボ。



パーマンズ
『Σ捻り潰してやる!』

フービーロボ2号
「Σウッキー!」



全員、同時に飛行状態で急速に接近する。



みなるん
「データによるとパーマンズは全員パワー特化型のロボットだ!
力負けしないようにパワードスーツのサイコエネルギーをパワーに振って!」



Σガガガキン!



2隊が激しくぶつかりあう音があたりに響く。



ブービーロボ2号
「ウッキー!」



途中から軌道を変えひらりと空中へ舞うブービー。



みなるん
「しまった、ブラック・リバーが手薄だ!」

パーやんロボ4号
「単純な引き算もできへんのか人間は、ブービーには既に拠点破壊を命じてあるわ」

みなるん
「まずい、残りの二人+1はファイタータイプじゃない」

まりこ
「止まれ!止まれ!止まれってばー!」



Σダダダダダダダダダ!!!



ブービーロボ2号
「Σウキキキキキキ!プルッキイイィィー!」」



まりこが機関砲を斉射するも、その全てが簡単にかわされる。
そのまま弾丸の如きスピードでブラック・リーバーの天井で曲を奏でている、みゆに突撃する。



みゆ
「きゃー!」



Σガキン!



みゆ
「川栄!」



寸前の所で川栄が割って入り、忍者刀でブービーの拳を受け止める。
ヒビのはいるブビーの拳。



川栄
「そのままー!とう!」



川栄は体制を崩したブービーを抱きかかえて地を蹴り高く跳ぶ。
ブービーは必死にもがくが関節を決められて逃れられず、マントもしぼんでいるため飛行能力を奪われ、自由落下を始める。



みなるん
「おい。。あの技YouTubeで見たことがあるぞ。。」

ゆいはん
「あれは確か忍者カムイが使う必殺技。。」

川栄
「Σイズナ落としいいぃぃ!!!」



Σどっごーん!



地より伝わる衝撃波に一同一斉に振り向く。



川栄
「Σこれぞ我の信じる唯一無二の忍者の理想像!」

ゆいはん
「いや、またパクってるやん!」

みなるん
「安定のブレブレ感w」

島田
「ロボットの重量が技の威力を上げてるな」

まりこ
「川栄、体は大丈夫?」

川栄
「ようやく全快してござる!
拠点の守りは私に任せるでござる!ニンニン」

ミク
「よーし次はメルトだー!私ボカロじゃないから高音出るかな~?」



大丈夫だよ~!と、微かに遠いコンサートの喧騒が流れてきた。



ブービーロボ2号
「ビービー、ガーガー」



首が曲がった状態で異音を発しふらふら立ち上がるブービー。



パーマンロボ1号
「ブービー、一度下がって自己再生につとめろ」

ブービーロボ2号
「ウ。。ビーガー。。キー!」

パーマンロボ1号
「人間がここまでやるとは。。我々も大技で挑むぞ!」

パーマンズ
『とう!』



一斉に空中に飛び上がる3体のロボ。



みなるん
「まずいぞ。。奴らの合体技といえば言わずと知れた。。」

パーマンズ
『Σパータッチ!』

みなるん
「全員密集して完全防御!
みゆと川栄は車内に退避!
まりこはすかさず回避行動!」

パーマン1号
「一人欠けた分威力が半減するのが残念だがこれぐらいのことはできる」



どがん!
ずがん!
ぼがん!



時速476キロの連結した3体の鉄の塊が、戦場を縦横無尽に駆け抜ける。



コロスケーズ
『わー!ぎゃー!』



そのたびにバラバラになりながら吹っ飛ぶコロスケーズ。



みなるん
「これでは身動きが取れん」

島田
「パータッチって手と手、心と心をつなぐ平和の象徴じゃないの!?
パーマンのOP好きだったのになあ」

ゆいはん
「あ!ぱるるが危ない!」



ミクはくるりと回ると胸の前で鍵をひねるジェスチャーをする。



ミク→スケルトン
「かちり☆ナンバー5、スケルトン!
死んだふり~」

まりこ
「ぱるるそれ意外と話題にならなかったハロウィン・ナイトの衣装じゃん」

みなるん
「機械のセンサーがそんなコスプレで死体と誤認するかな?」



びゅんびゅんスケルトンの上を通り過ぎるパーマンズ。



みゆ
「調べたら、そのコスプレ全センサーに対するステルス効果が確認できたよ」

みなるん
「何と!たかが趣味だと思っていたら、まさか軍隊レベルの特殊素材のコスプレがあろうとは。。
ぱるる~そのままそのまま~」

ゆいはん
「もう、縮こまってるのもあきたわ!能力発動するで!」

島田
「えーここでー!ちょい待ち!」



みなるんと、島田は飛び退き。
ゆいはんは防御を解き、すくっと立ち上がると敵前に一歩出る。



ゆいはん
「能力発動!Σ燃える闘魂!!!(バーニングハート)」



どうん!



ゆいはんを中心に火柱があがる。



みなるん
「ゆいの能力は自らの精神力を燃やしつづけ炎を操る能力。
思いが強ければ強いほど無制限に温度を高める事ができる」



イノキ、ボンバイエ、イノキボンバイエ、ファイ!ファイ!ファイ!ファイ!
チャーチャーラ、チャチャー、チャーラ♪
(どこからともなく流れる超有名な入場曲)



ゆいはん
「みゆ、やめい!
この力は精神の消耗が激しいから一気に決着をつけるで!
1000度。。2000度。。3000度。。今の私の拳は鉄をも溶かす」

パーマン1号
「我々の技を単純に考えているようだねw
パーマロゲンにより装甲はダイヤモンド並みに硬く、パワーは一般兵の6600倍に強化、これを重力を曲げて飛行させている。
この硬度と力と重力の衝撃波を受けれるものなら受けてみろ!」

パー子ロボ3号
「溶かされる前にお前の心臓をぶち抜いてやるわ!」

ゆいはん
「やれるもんやったら、やってみい!」



Σおおおおおおおおおおお!!!



ゆいはんに突撃する三体。
互いの叫びが重なる。



~少し離れたスクラップだらけのコンサート会場~



どさり。



スケルトンの前に黒い人影が落ちる。
その人影は歯車やネジなどのガラクタが固まってできていた。
それは、ゆっくりと立ち上がるとスケルトンに近づき右手を差し出す。



スケルトン
「あなた私が見えるの?」
スクラップ人形
(こくこくうなずく)



スケルトンがスクラップ人形の手を握った瞬間、強烈な衝撃波が彼女を襲う。



スケルトン
「Σぎゃあああああー!!!」



Σキュンキュンキュン!世界的脅威が確認されました!
Σキュンキュンキュン!世界的脅威が確認されました!



戦場の全端末からけたたましい警報音が鳴り響く。



Σどどどどどどどどぼかん!



と、同時に戦場の半分のロボットとパーマン1号以外のパーマンズたちが大爆発をおこす。



みなるん
「世界脅威だと!」

島田
「警報音初めて聞いた。。」

みゆ
「コード判明ブラック!死神です!」

みなるん
「最悪だ!このフィールドの理(ことわり)を改変されてしまう!
本部にラプラスの起動を要請!
全員フィジカルキャンセラーオン!
準備が出来次第即リンケージ!」

みなるん隊
『イエッサー!フィジカルキャンセラーオン』

パーマンロボ1号
「全部隊フィジカルキャンセラーオン!
ボスコロ助がコロスケーズの中継になれ!
BABEL!防御プログラムの起動を要請する!」



 スクラップ人形の体から機械部品が溢れ、今や巨人サイズまで膨れ上がっていた。
手のひらにはぐったりしたスケルトンが横たわっていた。



みなるん
「これが死神。。世界を滅ぼす力!」




-第二章-
«世界を滅ぼす力»完

(2017/01/06Google+にて公開)

-第一章- «人とAIの差»


  『鼓動を止めた心臓』
~ぱるる卒業記念作品~


-第一章-
«人とAIの差»



みなるん
「えー!無理っす!」

 ここは民間軍事会社『AKB48』秋葉原総本部、茅野しのぶ司令より大場美奈は極秘任務の命令を受けていた。

みなるん
「総監督の横山や、一期の峯岸さんとか他にもたくさん優秀な人達はいます」

茅野司令
「君を栄支部から呼んだのは君が一番適任だと思ったからだ。君以外はあり得ない受けてくれ」

みなるん
「そこまでおっしゃるなら。。わかりました、全力で務めさせてもらいまず」



時は21XX年。
未来は機械やAIが発達して人類が支配されるんだろうな~
と思った皆の期待通り、人工知能BABEL率いる機械の反乱が起こり人類は必死に抵抗していた。
その中で人々は生体のみで機械に打ち勝つ方法を模索し、DNAの組み換えや特殊な訓練によって生身で機械に対することのできる強化人間を開発することに成功していた。
AKB48はその研究開発と運用のトップ機関であり、学生時代から成人まで一貫したカリキュラムを作り、プログラム化することで日本の防衛の要になっていた。



茅野司令
「君にはうちの精鋭を二人つける、入ってくれ!」

みなるん
「ゆい!島田!てか、ゆいは今、48Gの総監督に就任して前線から退いているはずじゃ。。」

茅野司令
「今回はチームAのキャプテンには代行を立てて敢えてこの任務に就いてもらうことにした、この任務の難易度は相当に高くチームワークと信頼感が重要であり且つ少数精鋭でないといけない、ベストの人選だと自負している」

みなるん
「なぜゆいがこのチームのキャプテンじゃないんですか?」

茅野司令
「言ったはずだ、この任務の難易度は相当に高い、君にしかできないんだ。
あとで、竹内美宥と中村麻里子が合流することになっている」

みなるん
「9期ですよね。。!?」

茅野司令
「何故君たちが適任か?任務を聞けばその答えがわかるはずだ。
今回の任務は『島崎遥香救出作戦』だ
30分ほど前に、我が領土に密かに潜入した謎のロボット部隊によって島崎がさらわれた」

みなるん
「え!?島崎はとっくの昔に除隊して一般人に戻っているはずじゃ?
敵が拉致する理由がまったく思い付かないんですけど?」

茅野司令
「実は彼女には48G上層部しか知らない特殊な能力があり、我々はずっと監視していた」

みなるん
「島崎の能力って。。確か。。料理の味を塩っぱくしたり、塩分で口をカラカラにしたり、ドライアイにしたり。。人畜無害ですよね?」



茅野司令が手招きをし、みなるんを近くに呼び寄せる


茅野司令
「多くは言えないが君にだけ話しておこう。
島崎のその能力は昔はずっと強かったらしい、それが一度暴走してしまった。
彼女は9の人格を使って自らを封印し、今はその能力自体が消滅してしまった。
彼女を救出する為にひょっとすると封印を解かなければならない場面に直面するかもしれない。。それ故の今回の人選なのだ」

みなるん
「島崎にいったい何があったんですか?!」

茅野司令
「そこはトップシークレットであるため言えない。
ただ皆に生き残ってもらうために、上からは止めれれている情報を一つ教えよう。
彼女は公表はされていないが、世界脅威警報の対象者だ」

みなるん
「えー世界に3つしかない世界脅威の一つに島崎が。。」

茅野司令
「栄のロスト・シップ、南極の死神、アメリカのミュルグレス。
栄のロスト・シップは友好的で中立を宣言しており、南極の死神は実際は完全にコアを破壊されてそこに封印されていて、ミュルグレスも完璧にアメリカの制御下にある。
島崎遥香だけが我々のコントロールを外れ、逆に機械陣営はそれを利用しようとしている。
時間がないすぐに追ってくれ敵陣営奥深くまでさらわれたら救出の術がない。
その場合世界政府の力を借りざるを得ないかもしれない」

みなるん
「バスターコールですか?!
島崎を殺すということですか!」

茅野司令
「そうならないために君たちを呼んだのだ、時間がないすぐに出発してもらう」

みなるん
「イエッサー!」



大場隊出動。
大場美奈隊長以下、横山、島田、竹内、中村が集結し高速装甲車『ブラック・リバー』に乗り込む。
運転手は中村が担当し、オペレーターは竹内が務める。
大場、島田、横山はパワードスーツを着込み戦闘に備える。



まりこ
「みんな、このドリキンまりこ様がかっ飛ばしてやるから怪我すんじゃねえぞ!」



キーキッキッキッキッキ!
ギュルルルルォーン!
(※無駄にケツを滑らせるまりこ)



一同
『ええから真っ直ぐ走れ!遅なるやろ!』

まりこ
「ちぇっ、こんなパワーのある車で真っすぐしか走れないなんて勿体無~い、宝の持ち腐れだよ」

みなるん
(まりこ、わかってるよ緊張を解いてくれてありがとう)

みゆ
「レーダー反応ありました!数分後に追いつきます!」



数分後、ロボットの一隊に遭遇した。
彼らは、足のホバーと背中のバーニヤで高速移動していた。
島崎を小脇に抱えた、先頭のマントを着た一回り大きいロボットが何か命令すると、一隊は突然停止しこちらを囲むように展開する。
大場、横山、島田も飛び出し対峙する。



みなるん
「君たち。。21エモンのゴンスケだよね!?」

ゴンスケ1
「んだ、我々はイモ堀専用ロボゴンスケシリーズのカスタムタイプだあ」

ゴンスケ2
「お前ら人間の呪いのために今もイモを掘りたくて仕方ねえ!」

ゴンスケ3
「組織じゃ専用機は底辺だどうしてくれるんだ!」

ゆいはん
「何か。。えらいとばっちりのような。。」

ボスゴンスケ
「後はお前たちに任せた!やっておしまい!」

ゴンスケーズ
『アラホラサッサー!』

みなるん
「受けて立つ!」

島田
「腕がなるぜ!」



ドーン!
チュドーン!
ボガーン!


パワー系の横山と島田の攻撃力はすさまじく、次々にロボットを破壊していく。



みなるん
「これが。。後輩が恐れる背中で語るってやつか。。確かに物凄い威圧感だ。。いや、悪くはないんだけどねw」

島田
「よし!あらかた片付けた追うぞ!」



全員装甲車に乗り込み追跡を再開する。



みゆ
「あー、敵領内に入っちゃったー!此処から先はナビが効かないよ」

みなるん
「目的地はおそらく敵研究施設。昔の地図を元に推定アルコリズムで追って」

みゆ
「なるほど」

みなるん
「施設内に逃げ込まれたら厄介だ、援軍を呼ぶ時間を稼がれてしまう!
なんとしてもその前に叩くぞ!」

一同
「イエッサー!」



~数時間後~



みゆ
「見つけた!ターゲット補足!ロックオン!」

まりこ
「しゃー!ギリギリで追いついたよ!アタッカー行って!」

島田、ゆいはん
「もとより承知!」



装甲車から急襲し、ボスゴンスケの足を止める二人。



ボスゴンスケ
「しつこい奴らだべ!仕方ない相手してやるか!」



ぱるるをそっと下ろすボスゴンスケ。



ゆいはん
「へー悪いけどうちらは強いで!」

島田
「そんな細い腕で私達の攻撃が防げるかな?」



二人、地を蹴ると同時にパンチを放つ。



キュウウゥゥーン!!!



パワードスーツの拳に二人のサイコエネルギーが充填される。



ボスゴンスケ
「バカが、おらが力でこの地位にいると思ってか!」



と言い放つとボスゴンスケは後ろを向きお尻を突き上げる。



ボスゴンスケ
「スウウゥゥーパアアァァーホオオォォーヒイイィィー!」



Σばふん!



真っ黄色い煙があたりに立ち込める。



島田、ゆいはん
『くっさ~!こいつオナラしやがった~!ブハァ』



どっごーん!
ぼっがーん!



僅かにそれる二人の拳。
立ち上る二本の土柱。



ボスゴンスケ
「はーっはっはっは!さらばだ自称強い人間w」



Σぎゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅー!



ボスゴンスケはそのままの体勢でダッシュを掛けると、途中でぱるるを拾い蛇行気味に黄色い霧の中へ消えていった。
その間わずか数秒。



ゆいはん
「やられた!防御と逃走が一体になった、なんて見事な手やゴフゴフ」

島田
「底辺でも長は長と言うことか。。基地に逃げ込まれた作戦の練り直しだゲホゲホ」




~ブラック・リバー内部~


みなるん
「私の作戦ミスだ、五感を拡張するパワードスーツの機能を逆手に取られた。。」

島田
「鼻がもげるかとおもったわ」

みゆ
「いもほり専用機である短所を逆に長所にするとは」

みなるん
「新たな作戦実行にあたり、今晩、秋葉原本部から一人増援が来る」

まりこ
「え?ここ敵の領内奥地だよ?しかもこんな短時間でここに来れるって、能力はスピード型かな?」

みなるん
「いや違う。ただ今回の任務には適任な人材だ」

謎の人物
「ふふふふ!既にここにいるぞ!」

一同
『Σ何ッ!』



一同が見上げると、結構長めにそこにいたのか顔に玉のような汗をかき、手をぷるぷるさせながら天井に張り付いている者あり。



謎の人物
「とう!」



一同の前に軽い身のこなしで着地する謎の人物。



一同
「Σ川栄!」

謎の人物→川栄
「いかにも拙者が此度の増援でござるニンニン」

ゆいはん
「川栄そのかっこう”あずみ”やんな?忍者にクラスチェンジしてたんや~」

川栄
「ちがーう!あずみではござらーん!それがしは誰にもかぶらない世界で唯一の理想の忍びの姿を追い求める者!
間違ってもそんなブレてるとかパクりとかではござらーん!ニンニン」

一同
(見た目は”あずみ”で語尾が”ハットリくん”て。。既に理想の忍者像ブレまくりやん!)

みなるん
「川栄は今や特務機関"伊賀の里"をトップの成績で卒業し任務にあたっている、今回の潜入のミッションにはうってつけなのだ」

ゆいはん
「しんじられへん、あの川栄が優秀な成績だなんて!」

川栄
「おい」

みなるん
「こちらのデータによると、基礎学力と基礎忍術は全く駄目だが、実戦においては特Aクラスの評価を受けている。。」

島田
「意味がわからん、忍術も、知識もないのに何でトップで卒業できるんだ?」

川栄
「忍術使えるでござる!
試しに”影召喚”使ってみせるでござるか?!」

まりこ
「”影召喚”って私でも知ってる。
確か"邪悪な影の軍団"を自らの影を媒体にして呼び寄せる忍者の究極忍術の一つ!
試しに使っちゃ駄目ー!私達が危ない!」

川栄
「仕方ないでござるな。。ニンニン」

みゆ
「まじか。。基本的な忍術が使えないのに奥義クラスの忍術は使えるって無茶苦茶だ!」

みなるん
「話を戻すぞ、今回の作戦の概要を説明する。
まず、ゆいと島田は古いマッピングデータに従いこの施設の地下深くにある原子力発電所に攻撃を加え、機能を停止させる。
巨大施設は移動できないから位置は正確にわかるはずだ。」

島田、ゆいはん
「了解!」

みなるん
「川栄は施設内に隠密で潜入、情報を収集し、各所に爆弾を設置し、ぱるるを見つけてこのビーコンを手渡す。」

川栄
「あいわかってござる!」

みなるん
「時を同じくして、地下施設と各場所を爆破、我々は破砕砲で施設内部を強行突破、このB地点で合流し即離脱する、今回の任務は川栄の負担が大きい心してくれ」

川栄
「忍びの真髄、とくと照覧あれ!ニンニン」

ゆいはん
「うそやん、川栄が頼もしく見える!」



~研究所内部~


川栄は排熱ダクトから潜入し、光学迷彩の施された一枚の布を使い身を隠しつつ情報収集を行っていた。。がその必要はなかったようである。
慌ただしく走り回るロボットたち。



ハタラキゴンスケ1
「人間てこげにわがままだとは思わなっかたべ」

ハタラキゴンスケ2
「いいから早く!ピーマンを運ぶんだ!」

ハタラキゴンスケ3
「ところで"ピーマンノニクヅメ"ってなんだべ?肉はバケツに山盛り持ってきたべ」

ハタラキゴンスケ4
「お前それピーマンじゃないべ!そげにカラフルなピーマンがあるわけ無かろうが!」

ハタラキゴンスケ1
「え!んじゃこれは何だべ!?」

ハタラキゴンスケ4
「それはパプリカだべ!」

ハタラキゴンスケーズ!
『なんだってー!!!』

川栄
(なんだ。。こいつらは、ぱるるさんにアゴで使われているのか!?このままつけようw)



~ぱるるの隔離されてる部屋~



ぱるる
「もー!お腹すいた!お腹すいた!お腹すいた!お腹すいたー!」

ハタラキゴンスケ1
「わー!ぱるる暴れないでおくんろー!」

ハタラキゴンスケ2
「ほれほれ"ピーマンノニクヅメ"を用意したぞ!」

ぱるる
「なにこれ!?生じゃん!こんなのいらなーい!
さっさと火を通してきてー!」



生肉が詰め込まれた生ピーマンを弾丸のようにあちこちに投げるぱるる。



ハタラキゴンスケーズ
『ひーたまらん!出直すぞー!』



逃げるようにロボットたちが退散したあとにひらりと現れる川栄。



ぱるる
「あ!川栄、コスプレ似合ってるね」

川栄
「コスプレじゃござらん!歴とした忍者でござる!
ささ、ぱるるさんこのビーコンを肌身離さずお持ちください貴方を救出します!」

ぱるる
「やだ」

川栄
「。。やだ?ええぇぇ何でぇ?!」

ぱるる
「ここは快適だよ、ロボットたちも可愛いしw」

川栄
「駄目です!ここがどんな場所か知っているでござるか?
かつて危険な人体実験が行われていた実験施設でござるよ!
ぱるるさん実験体にされて苦しむ事になりますよ!」

ぱるる
「そなの?いつも部屋に閉じこもっているからロボちゃんたちがピクニックに連れ出してくれたのかと思ったw」

川栄
「どこから。。説明したらいいんだ。。
とにかく来てください!9期の皆が待ってます!」

ぱるる
「え、みんな来てるの?行くー」

川栄
「ふぅ。。ターゲットを確保!ターゲット確保!作戦を実行に移す!」



研究施設内部で次々に爆発が起こり、警報が鳴り響く。
島田と、ゆいはんも発電所の破壊に成功し電源が完全に止る。
その混乱に乗じて目標地点へ向かう3隊。
混乱しているとは言え散発的に銃弾は浴びせられていた。



みなるん
「遅い!遅い!遅い!もっとスピード出ないのまりこ!」

まりこ
「壁をぶち抜きながら走行してんだ!そうまくは行かないよ!」

みゆ
「大丈夫、ビーコンの反応は確実に近づいている。。。もう目の前だよ!」

みなるん
「川栄!ぱるる!あ、島田もゆいはんも来た!」



Σぎゅきゅきゅきゅー!



まりこの華麗なハンドルさばきで4輪を滑らせ装甲車を横付けにし、防弾しつつ4人を回収する。


まりこ
「やったー!大成功だったね!ねえねえみんな私の華麗なステアリングさばき見た?」

みゆ
「まって!多数の敵の反応が急速に近づいてくる。。これはキャプテン!包囲されました!」

みなるん
「ヤラれた。。ぱるると施設自体を餌にするとは。。」



やがて周囲を囲む100隊のロボット軍団が現れる。
先頭に立つのはあのボスゴンスケ。



ボスゴンスケ
「はっはっはっは!人間ってAIより劣るべ、人に似せて作られた我々は人の習性を完全に把握しているだあ。
さあ、全員降伏するんだ、その実験体の力は我々がもらう!」

みなるん
「ぱるるをどうする気?!」

ボスゴンスケ
「お前たちの特殊能力は、脳と心臓と、各能力によって別々の場所で発達した、感覚器官の3つがセットで連携することで発動する。
簡単なこと、実験体からそれらを抜いて機械に埋め込んで兵器にする」

ぱるる
「えーこわーい」

みなるん
「そんなことはさせない!」

ボスゴンスケ
「いくらお前たちが精鋭揃いでも、この数を相手にただで済むと思っているのか?!
人間は何でこんな当たり前の事が計算できないんだべ」



島田とゆいはんは拳を胸で二回打ち鳴らし、それぞれが戦闘態勢に入る。



川栄(小さな声で)
「みゆさん。。"アームドピアノ"は使えるでござるか?」

みゆ(小さな声で)
「当然、、私の唯一の能力、でも単なる支援スキルでしかないよ」

川栄(小さな声で)
「私の合図である曲を弾いてほしいでござる」

みゆ(こくこくうなずく)



すっと、みなるんとボスゴンスケの間に割って入る川栄。



ボスゴンスケ
「何だべお前?」

みなるん
「川栄、危ないから下がって」

川栄
「ふふふふ、私がここにいたことが運の尽きだったな!ボスゴンスケ!
忍びの究極忍術を食らうがいい!!!」

一同
(おお!ついに出るか!忍びの奥義!)



川栄の全身の血管が浮き出て強く脈打ち、両目がまばゆいほどの黄金に輝く。



川栄
「かはああぁぁぁ。。(鼻と口から沸騰した血液の蒸気が漏れる)
我が影より召喚せし血に飢えた影の軍団に恐れおののくがよい!
究極忍術!影召喚ああぁぁん!
みゆさんΣミュージックースタートゥ!」



体勢を低くして印を結んだ川栄の背後の影から次々に飛び出す黒い影。



みゆ
「Σ武装鋼琴発動!」



振り上げた、みゆの特殊なグローブが輝き、彼女の前に光り輝くグランドピアノが現れる。



ぽん☆ぽん☆ぽん☆
(黒い影がメルヘンチックにピンクの煙を出して弾ける)



謎の影の軍団
『まこ!』
『なな!』
『みきー!』
『その他、私達アイドルグループ、影の軍団選抜でーす!』



♪チャ~チャ~チャララチャッチャ~♪



一同
(えー!あの三人は三銃士!?しかもこの曲は。。)

川栄
「ふ。。AKB唯一の忍者曲"LOVE修行"でござる!
行け!血に飢えし影の軍団!
目一杯そのパフォーマンスを見せつけるのだ!」



楽しそうに装甲車を中心に円を描き踊り狂う影の軍団LOVE修行選抜。



みなるん
「いや、忍者曲ちゃうぞ。。ぽいとこ一瞬だけあるけど。。
てかこの究極忍術、攻撃力0じゃんか!」

ゴンスケーズ
『か~わ~い~い』



突然、戦場がコンサート会場と化し、その変化を計算しきれず動揺するロボットたち。
何体かはAIが暴走し突然高くジャンプしたり、左右に素早く両腕を振る奇妙な動きを始める。



みなるん
「しめた!さすがAKBの誇る、最近忘れられがちな名曲w
今のうちに逃走だ!て、川栄倒れてる!?」

川栄
「それがしは置いて行くでござる。。この術を使うとしばらく体が動かん」



ごふと血を吐く川栄。



みなるん
「効果と打って変わってなんて高リスクな術なんだ!こんなのバカにしか使えねえ。
みんな!これからこの領域を離脱する!
島田は川栄を回収して、ゆいはんは影の軍団の撤収を手伝って!
みゆはギリギリまで曲を弾き続けて!」

みゆ
「もとより軍楽隊の役目は心得ているよ!」

ゆいはん
「さすがに19名全員は乗らないな。。もー適当に装甲車に張り付いて!」

LOVE修行選抜
『はーい』



ぶろろろろろろろーーー!!!
(機械軍団の中を強行突破する装甲車)



ボスゴンスケ
「は!いかん!あまりの不条理に指揮系統がバラバラだべ!
こんなバカバカしいことができるなんて。。人間は我々の計算の尺度を遥かにこえているだあ!」



実はその人間も想定外だったのだが。。
ボスゴンスケはがくりと地に膝をついた。
馬鹿の非常識な思いつきがAIを超えた瞬間であった。




-第一章-
«人とAIの差»完

追記
ぱるるの活動期間である
年内に終わらせようと書き始めたのは良かったが。。
どうやら全然終わりそうにありませんw
終わるまで一ヶ月くらいかかるかな?
すまねーぱるるー
それまで誰にもバレずにひっそりこっそり書き足していこうw
よいお年をノシ

(2016/12/19Google+にて公開)